ニュルブルクリンクへの挑戦 2013

2013.12.18 ニュルへの挑戦

2013.5/17-5/20 ニュルブルクリンク24時間耐久レース 予選・決勝レポート

GAZOO Racingは今年もレースを通じた“いいクルマづくり”をテーマに「第41回ニュルブルクリンク24時間耐久レース」に参戦。LEXUS LFAと2台の86、11人のドライバーと13人のメカニックたちが“心ひとつに”挑んだ7年目の厳しい戦いに密着した。

予選・決勝レポート

スケジュール
【第1回予選】 日本時間 5/18(土)2:35~6:30(現地時間 5/17(金)19:35~23:30)開催
【第2回予選】 日本時間 5/18(土)18:20~20:20(現地時間 5/18(土)11:20~13:20)開催
【TOP40予選】 日本時間 5/19(日)1:45~3:00(現地時間 5/18(土)18:45~20:00)開催
【決勝】 日本時間 5/19(日)24:00~5/20(月)24:00開催
現地時間 5/19(日)17:00~5/20(月)17:00開催
スケジュール
【第1回予選】日本時間 5/18(土)2:35~6:30
(現地時間 5/17(金)19:35~23:30)開催
【第2回予選】日本時間 5/18(土)18:20~20:20
(現地時間 5/18(土)11:20~13:20)開催
【TOP40予選】日本時間 5/19(日)1:45~3:00
(現地時間 5/18(土)18:45~20:00)開催
【決勝】日本時間 5/19(日)24:00~5/20(月)24:00開催
現地時間 5/19(日)17:00~5/20(月)17:00開催

年に一度の特別な戦い

雨のために9時間もレースが中断される悪天候にもかかわらず、コースサイドを埋め尽くした観衆は21万人と発表された。服が濡れ、靴が泥だらけになりながらもサーキットを離れたくない魅力が「ニュルブルクリンク24時間」にはある。2連覇を狙うアウディ、王座奪還に燃えるポルシェやBMW勢、さらに悲願の初優勝を目論むメルセデスSLSなどによる自動車メーカーのプライドをかけた戦い。一方で、いつものように友人や家族で構成されるプライベートチームも多数参戦し、年に一度の晴れ舞台を楽しむ。175台のレースカー、約700名のドライバー、メカニックやスタッフと観客が一体となって言葉では表現し難い特別な空間をつくり出している。エンジン音と歓声、タイヤの焼ける匂いとバーベキューの煙、勝ちたい想いと勝って欲しいと願う気持ち…、今年も特別な戦いが幕を開けた。

  • 21万の大観衆が見守る中、レースがスタート
  • モリゾウ選手は4年ぶりの24時間でミスひとつなく走行

躍進と新たな試練

予選1回目は金曜日の午後7時35分、気温9℃/路面温度10℃、曇り時々雨、路面ウェットのコンディションで始まった。LFA#79は、チーフドライバーで様々なレースの経験を持つベテランの影山正彦選手、4年ぶりの「ニュル24時間」参戦となったモリゾウ選手、ニュル3年目の石浦宏明選手と大嶋和也選手がステアリングを握り、感触を確かめるように周回を重ねクラス5位のタイムでピットガレージへ。大嶋選手は「ライン上だけが乾いていて他はウェット、明日晴れますから早めに切り上げます」。無理をしないことも、ここでは戦略のひとつになる。
86#135は、ニュル6年目の飯田章選手、2年目の井口卓人選手、初参戦の蒲生尚哉選手、そしてLFA#79とダブルエントリーのモリゾウ選手がドライブ。路面状況が回復した終盤にクラストップタイムを刻んだ。一方の86#136は、ニュル22年目の木下隆之選手、モータージャーナリストでもある佐藤久実選手、トヨタのテストドライバー矢吹久選手と平田泰男選手がドライブ、序盤に矢吹選手がコースオフして車両の右サイドを痛めたがメカニックの迅速な応急修理で終盤に木下選手がクラス2位のタイムを記録した。メカニックは万全を期すためにクラッシュの影響が及ぶ可能性があるパーツの交換やアライメント調整などに深夜0時頃から着手。25キロに渡って170を超えるコーナー、アップダウンや凹凸が無数にあるニュルを24時間走ると通常のスプリントレースとは比較にならない負担がレースカーにかかってくる。「ドライバーに安心して走って欲しい」との想いを込めた作業が終わる頃には夜が明けていた。

  • 41回目の大会は雨に翻弄される戦いに…
  • ヘビーレインの中でも高いポテンシャルをみせた

翌土曜日の午前11時20分から2時間、気温8℃/路面温度10℃と相変わらず肌寒い曇り空の下で予選2回目が行われた。LFA#79は大嶋選手、モリゾウ選手がステアリングを握り、終盤のアタックで総合23位/クラス1位。上位40台によるトップ40クオリファイへの出場権を獲得し、そこで総合30位/クラス1位のグリッドを得た。予選のベストタイムは8分33秒840、一昨年のタイムを約2秒短縮した昨年の8分34秒847を1秒007削った。わずか1秒かも知れないが、1年をかけて110キロもの軽量化を施しエアロバランスの試行錯誤などを繰り返してきたチームにとっては、昨年よりも悪い路面コンディション下での大きな成果。365日の努力が生み出す1秒、ここにもニュルならではの苦労と喜びが垣間見える。
86#136は、佐藤選手が「メカニックの頑張りのおかげで完璧に直っています。心からありがとう」と語るように夜を徹した作業の甲斐あってクラス4位のタイムとともにノートラブルで予選を終えた。しかし、一方の86#135に予想もしなかったアクシデントが発生する。予選終盤にコースインした飯田選手の86#135がコースオフしコンクリートウォールにクラッシュ、ドライバーは無事だったがフロント周りの損傷が激しく安全面を重視して棄権を決めた。86#135は昨年のベストタイムを7秒も上回る10分6秒537を刻み、クラス2位のポジションにいた。「絶対的なパワーはないが、とにかく86はコーナーが速い」。上位を走るドライバーやコースサイドで目を凝らすカメラマンたちの声は取材を行う我々にとっても嬉しかった。

力と心を重ねて…

日曜日の17時、気温16℃/路面温度19℃の曇り空の下で24時間の戦いがスタートした。LFA #79はチーフの影山選手がスタートドライバーを担当、「先は長いからじっくり行こう」と無線でチームメンバーに声をかけながら安定したペースで周回を重ね、モリゾウ選手へステアリングを引き継ぐ。4年ぶり3回目の参戦となったモリゾウ選手がピットガレージへ登場するとカメラに囲まれた。アルテッツァで初参戦した2007年には現地の取材陣から「豊田社長は速いのか?レーシングドライバーとしてのトレーニングはしているのか?」とその本気度を探るような質問を受けたが、2009年のLFAでの参戦やその後のVLN(ニュル耐久選手権)への出場などの走りを通じてメディアやファンは、モリゾウ選手を情熱あふれる1人のレーシングドライバーとして認識し、彼が目指すレースを通じた“いいクルマづくり”に共感している。石浦選手から大嶋選手に交代した21時頃から雨が降り始めコースオフやクラッシュが多発、雨脚が強まった22時44分にはコース上にパーツが散乱する大きなクラッシュが発生し赤旗が掲示されレースが中断。クラス3位でピットへ戻った大嶋選手は「今までこんなに怖かった経験はないです。ハイドロプレーニングでいつ飛んで行ってもおかしくない状況でした」と真っ赤な目で語った。一方の86#136は矢吹選手、佐藤選手、平田選手の順でステアリングを握りクラス4番手を順調に走行。中断直前の強い雨の中では平田選手が同じクラス内の最速タイムをマークしながら走行し、86の悪条件下でのハンドリングバランスの良さをアピールした。
約9時間の中断を経て午前8時にリスタートのフォーメーションラップが始まった。気温8℃/路面温度は9℃、依然として雨が降り続いている。主催者へ聞くと「昔と違って絶対速度が格段に上がり、また上位と下位のスピード差が歴然としている昨今、夜が明けるまで再スタートは危険と判断した」とのコメント。中断直前の状況が如何に危険であったかが分かるが、そんな中でも自らクルマを止めることが叶わないレーシングドライバーの仕事は文字通り命がけである。LFA#79は影山選手から交代した石浦選手がスティントの終盤にクラス2位へ浮上、モリゾウ選手がポジションをキープして大嶋選手へとステアリングを引き継いだ。その後も路面が乾いたり雨が降ったりの不安定な状況の中、ノートラブルでラップを重ねていく。86#136はリスタートを担当した木下選手がクラス3位へ浮上、ここから同一ラップでのクラス優勝争いが終盤まで続いていく。

  • 水煙の中、V10の甲高いエンジン音が響く
  • 影山選手からモリゾウ選手へ、短い時間で路面状況を伝える

この想いと経験を必ず未来へ

午後17時、3度目の挑戦で悲願の初優勝を達成したメルセデスSLSにチェッカーフラッグが振り降ろされた。86#136は佐藤選手が3位を大きく引き離しクラス2位でゴール。「86は2台とも予選で大変なことがあって、でもメカニックが本当に良く頑張ってくれて、おかげで私たちドライバーは安心していいレースを戦うことが出来ました」と笑顔を見せた。松原チーフメカニックは大粒の涙を拭いもせずに、「僕たち#136のトラブルでは朝まで#135のメカニックが力を貸してくれました。でも#135は棄権することになってしまい…恩返しのつもりで皆の気持ちをのせて、2位ではありますが完走することができ本当に嬉しいです」。昨年は松原チーフメカニックを指導する立場だった平田選手は、「86は速かったし、後輩の社員メカニックたちは完璧な仕事をしてくれて頼もしかった。我々が故成瀬監督から受け継いだ心と技能を伝承することができたと思います」。井口選手は、「決勝を走ることが出来なかったことでニュルの新たな一面に触れることが出来ました。この経験と想いを来年に繋げていきたい」と悔しさをこらえた。

  • 度重なるタイヤ交換をメカニックが完璧にこなした
  • 過去最多、9台の86が出場した

LFA#79は、モリゾウ選手がフィニッシュドライバーを担当、クラス2位でチェッカーをくぐった。関谷チーフメカニックは、「GAZOO Racingの挑戦はいつまでたっても終わりが見えない。今年は大幅な軽量化によってスピードは向上したものの過去のセッティングデータが活かせずに苦労しました。このトライを無駄にせず、これからの“いいクルマづくり”に繋げていきたい」と未来を見据えた。
最後はモリゾウ選手のコメントでレポートを締めくくりたい。「棄権した86も心の中で一緒に走った24時間でした。皆でつかんだ完走です。私にとってここは原点でありドライバーとしての鍛錬の場。この厳しい戦いの中で研ぎすまされたクルマを感じる私自身のセンサーをこれからの“もっといいクルマづくり”に活かして行きたい。楽しみに待っていて下さい」。GAZOO Racingの挑戦は続く。

  • モリゾウ選手のLFAと佐藤選手の86が並んでチェッカー
  • “心ひとつに”今年も長い戦いが終わった

エントリー:180台/予選出走:175台/決勝出走:174台/完走:137台

総合順位

1位 No.9 Black Falcon / Mercedes-Benz SLS AMG GT3 (SP9 GT3クラス)
2位 No.25 BMW Sports Trophy Team Marc VDS / BMW Z4 (SP9 GT3クラス)
3位 No.22 ROWE Racing / Mercedes-Benz SLS AMG GT3 (SP9 GT3クラス)
4位 No.23 ROWE Racing / Mercedes-Benz SLS AMG GT3 (SP9 GT3クラス)
5位 No.1 G-Drive Racing by Phoenix / Audi R8 LMS ultra (SP9 GT3クラス)
6位 No.20 BMW Team Schubert / BMW Z4 GT3 (SP9 GT3クラス)
7位 No.18 Manthey Racing / Porshe 911 GT3 RSR (SP7クラス)
8位 No.4 Phoenix Racing / Audi R8 LMS ultra (SP9 GT3クラス)
9位 No.3 G-Drive Racing by Phoenix / Audi R8 LMS ultra (SP9 GT3クラス)
10位 No.7 Aston Martin Racing / Aston Martin Vantage GT3 (SP9 GT3クラス)
     
37位 No.79 GAZOO Racing / LEXUS LFA (SP8クラス)
64位 No.136 GAZOO Racing / TOYOTA 86 (SP3クラス)

SP8クラス順位

1位 No.81 Corvette C6 (総合21位)
2位 No.79 GAZOO Racing / LEXUS LFA (総合37位)
3位 No.6 Aston Martin Test Center / Aston Martin Vantage (総合76位)

SP3クラス順位

1位 No.142 Roadrunner Racing GmbH / Renault Clio Cup (総合58位)
2位 No.136 GAZOO Racing / TOYOTA 86 (総合64位)
3位 No.141 Roadrunner Racing GmbH / Renault Clio Cup (総合70位)
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